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アニバーサリースペシャルインタビュー「ブルーボトルコーヒー日本上陸10周年~この10年を振り返って~」

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江東経済新聞が発足して10周年を迎えたことを記念し、アニバーサリーインタビューの連載をスタート。第1弾として、清澄白河エリアにカフェカルチャーを定着させた「ブルーボトルコーヒー」の日本でのスタートアップを手掛けた3名に、この10年を振り返っていただいた。

ブルーボトルコーヒー シニアグローバル オモテナシ マネージャー
Blue Bottle Coffee
Senior Global Omotenashi Manager
吉川遼音(きちかわ・りょうと)さん

この10年間を振り返ると、私自身にとっても大きな旅だったと感じている。清澄白河のカフェでゲストに1杯のコーヒーをお届けするところから始まり、今では世界のチームと共に「ゲストにどんな素敵な体験をしていただけるか」を考え続ける立場になった。

この旅で学んだこととして、本当に素晴らしいコーヒー体験は、コーヒーそのものの味わいだけではなく、人との関わりや文化、雰囲気といったコーヒーを取り巻くあらゆる細部が大切だということ。まさに細部には悪魔も神も宿っていることを、この10年で実感した。チームと支え合い、学びや挑戦を重ねながら、1杯のコーヒーを特別な瞬間に変えていく。その積み重ねこそが、自分にとっても会社にとってもかけがえのない時間だった。

これからの10年は、より多様な文化や背景を持つゲストやチームと共に、国内外で新しい「おもてなし」のかたちを創っていけたらと考えている。

ブルーボトルコーヒー グローバルプロダクトディベロップメント ディレクター
Blue Bottle Coffee
Director of Global Product Development
Kevin Thaxton(ケビン・サクストン)さん

日本でブルーボトルコーヒーをオープンしたことは、私にとってとても大きな出来事だった。ブランドの日本でのスタートに携わることができたのは本当にワクワクする経験であり、同時にアメリカから日本へ移り住むという大きな人生の転機にもなった。立ち上げ当初のブルーボトルコーヒージャパンのチームが見せてくれた丁寧さや細やかな心配りには深く心を打たれ、情熱的で思慮深い仲間と一緒に働けたことは今でも温かい思い出として残っている。

当時は日本での品質全般を担当し、生豆の管理から焙煎、カフェでの抽出まで幅広く関わっていた。現在ではグローバル全体の品質や商品開発をリードする立場となり、日本で過ごした時間やチームとの協働が、コーヒーの品質やゲスト体験をどう考えるかということに大きな影響を与えている。その学びは今も私の仕事の基盤となり、世界中のマーケットで活かされている。

ブルーボトルコーヒージャパン シニアロースタリーリーダー
Blue Bottle Coffee Japan
Senior Roastery Leader
山本健太さん

この10年を振り返ると焙煎という工程を通してコーヒーのおいしさと向き合い続けた時間だったと思う。自分自身が関わっているパートは種からカップのコーヒーになるまでの流れの中でごくわずかだが、このプロセスに関わってくれた全ての方々のおかげでコーヒーと向き合い続けることができた。

私たちはさまざまな環境が変化していく中で、おいしいものを作り、誰かの幸せのきっかけになりたい。その瞬間を共有して祝福したい。この先の10年も変わらずに挑戦していきたい。

2002(平成14)年に米国カリフォルニア州のオークランドで創業した「ブルーボトルコーヒー」は、2015(平成27)年に米国以外で初めて江東区平野にカフェを開いた。当時の賑わいは界隈を一躍「訪れたいオシャレな街」に変貌させてしまった感すらあった。

あれから10年の月日が流れ、その間、感染症の影響で社会が一変したものの、「白い箱」のようなカフェは大きな扉で今なお憩いの世界に多くの人を誘っている。「芸術の街」「古本の街」そして「コーヒーの街」あるいは「カフェの街」が定着した木場公園や清澄庭園周辺のエリアは、歴史を刻みながら、新たな「○○の街」を今後も生み出すのだろう。もしかすると「ブルーボトルコーヒー 清澄白河フラッグシップカフェ」でスペシャルティコーヒーを飲んでいる隣の席にいる「誰か」が、この地に別の文化を根付かせる次なる「ブルーボトルコーヒーな人」かもしれない。

文:江東経済新聞 編集長 堀内太陽

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