
ーーバスケットボールクラブのホームアリーナとして、どのような点にこだわったのですか?
今回のアリーナ建設プロジェクトにおいて、アルバルクとして最もこだわったのは「観戦体験」です。客席からのコートの近さによる臨場感や、オーバル形状ボウル構造によるコートに正対しストレスフリーな応援ができること、そして、センターハングビジョンおよび2層のリボンビジョンによる没入感のある演出など、完璧なバスケットアリーナとは言えませんが、専用と言っても過言ではない設計がなされていると思います。既存の施設と比べても観戦体験の面で違いを感じてもらえると思います。

アクセス面でも、車なら丸の内や品川から約15分、電車でも渋谷から約18分。臨海副都心は「遠い」という印象を持たれがちですが、実際に訪れてみると案外近いと感じる人が多いと思います。
ーー施設の運営という面では、B1におけるホームゲームは年間でも限られています。それ以外の団体に利用していただくための取り組みも教えてください。
運営面においては、アルバルク東京のホームゲームは年間に30試合程度しかなく、多目的化を進めていくことは不可避です。そこで、スポーツ以外のイベントやコンサートなどを誘致するために、そうした分野に経験のある人材を採用しました。音楽や大規模イベントに精通したスタッフを迎え入れたことで、レイアウトや施設設計にまでその知見が反映されています。例えば、ロッカールームやミーティングルームの配置、ステージ設営に関わる動線設計などが音楽事業や大規模イベントを見据えた上で考えられています。

また、設営時間の短縮や機材の適切な配置といった運営効率の向上のための投資を行いました。準備日を減らして本公演日を増やすことは収益性向上に直結するため、設営・撤去の効率化は重要でした。機材への投資や導線設計の工夫などの先行投資を行った結果、その有効性はこれから間違いなく高まるものと思います。
さらに、照明や音響機器の進化についても注視しています。最新機材への全面的な投資が常に正解とは限りませんが、月日が経過する中、新旧の差分をどのように埋めていくかは運営側の工夫次第です。テクノロジーは日々進歩しますが、施設の使い方、デジタル技術によるソフト面での知恵や既存施設の模様替えなどで十分に補っていけるように工夫を凝らしていける部分も多いはずですから。
ーー待望のアリーナを手にし、大きな目標を掲げていらっしゃると思いますが、教えてください。
チームとしての目指す方向性は、当然ながら常に優勝を目指していますが、単に目先の勝利だけを追うクラブにはなりたくありません。長いシーズンを見据えた選手起用や育成、クラブ全体としての体力づくりが重要です。怪我人が出た際の対応についてもトレーナーやメディカルスタッフの力が重要で、復帰を早めるための体制強化に取り組んでいます。そうしたスタッフの存在が選手にとっても大きな支えになり、復帰後に恩返ししようというモチベーションにもつながると考えています。
また、クラブ一丸となって優勝を目指していることは、フロントスタッフと選手が同じ食堂で食事をするなど、日常的に一体感を持って活動できる環境であることが精神的な面での安定感にも表れています。フロントと選手が同じ価値観で動くことで、ファンの盛り上がりを生む運営手法や施策が生まれやすくなり、その相乗効果がシーズンの成績にも好影響を与えるのではないかと期待しています。もちろん、シーズン中は勝敗に一喜一憂する場面もあるでしょうが、そこに牛耳られないように、全体感をもって進めていくことが次につながる経験だと捉えています。
