
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が主催する「ジャパン サイフォニスト チャンピオンシップ(JSC)」の決勝が9月24日、東京ビッグサイト(江東区有明3)で行われ、「椿屋珈琲(コーヒー)焙煎(ばいせん)所&Cafe」(江東区猿江2)の千田(ちだ)陽介さんが優勝した。
店舗では大会と同様に光サイフォンテーブルフラットの安定熱源を使用
SCAJが毎年開催している大会は、サイホンを使っていれたコーヒーの技と味を審査・採点する競技で、当日は6月の予選で勝ち上がった6人のサイフォニストが自慢の腕を競った。
千田さんはこれまでにも決勝に2回進出した経験があり、今回が3回目の挑戦となった。「これまでは決勝進出がこれで最後になるかもしれないと考え、自分のやりたいことを優先していた。今回は勝つことを優先して準備し、その中に自分のやりたいことを組み込もうと思った」と話す。
椿屋珈琲は東和フードサービス(港区)が1996(平成9)年に立ち上げたサイホンコーヒー専門のカフェ業態。千田さんは2011→(平成24)年にアルバイトとして働き始め、今年で14年目となる。「日本では数少ないサイホンコーヒーの専門店なので、環境にも恵まれている。店で使っているサイホンの機器が大会で使う機器とほぼ同じものを使っているという利点もあった」と話す。
大会ではコーヒー豆を参加者がそれぞれセレクトし、焙煎することができる。千田さんは椿屋珈琲に加え、グループの他の飲食店のコーヒーも焙煎している。「今回はコロンビアの農園から仕入れている発酵させた豆を使った。大会では豆をブレンドするルールがあるため、パナマ産の豆をブレンドした」という。
普段は豆を焙煎しながら、店舗の業務も行っているため、大会のための練習は休みの日か仕事が終わった夜に行っていた。「競技時間は15分。その間にサイホンコーヒーを作りながら、なぜ、この豆を使ったのか、なぜ、この焙煎具合にしたのか、このブレンドにしたのかなど、ストーリーをしっかり伝えることも採点に含まれる。一緒に練習してくれた何人もの同僚がいてこそ優勝できた。資料作りも含め、チームで勝ち取った優勝」と感謝の言葉でつづる。
優勝者は翌年開催される世界大会への出場が決定する。千田さんは「ここ10年間、日本人の世界チャンピオンが出ていない。頂いたチャンスをものにしたい。日本大会同様に15分のプレゼンだが、英語が必須なので、本番までの期間で15分間の英語を頭の中にたたき込みたい。来年は椿屋珈琲が創業30周年のアニバーサリイヤー。その年に10年ぶりの日本人世界チャンピオンになるために最善の準備をする。手伝ってくれる仲間への感謝は結果を出すことなので、チームに吉報を届けたい」と意気込む。2026年世界大会の日程は未定。
椿屋珈琲焙煎所&Cafeの営業時間は11時~17時。