
日本ワインはまだまだ売れていません。やっぱり欧州産を筆頭に濃いワインが好んで飲まれています。その濃いワインと対極にあるのが日本ワイン。でも、欧州のワインを飲み尽くしているような食のプロたちが「日本のワインがいいね」と言い始めています。それはこれまでのようにワインに合わせた食事という概念ではなく、繊細な日本の料理にワインを合わせるという考えから。行き着く先はそこなのかなと感じています。
一方でワインの多くを知らない人たちに日本ワインを飲んでいただくために、安売りではなくて低価格路線が必要で、それには本数を多くすることが必要です。多くの人に認知してもらうために1000円台のワインを作ろうとプロジェクトを進めています。現状の30,000本レベルの生産をタンクを増やして50,000本へ。さらに10万本、20万本、30万本までは醸造所を増設するなどで生産ができると思っています。賞が取れるようなワインと気軽に飲めるワインの2極化を戦略的に実施しています。

振り返ると、オープン当時は色物的なワイナリーとして扱われていました。「ビジネスマンワイナリーでしょ」みたいな言われ方もされました。今はアワードを受賞するワインを醸造していることもあって、きっちりおいしいワインを提供しながら日本ワインを広めたいという思いを持っています。
江東区には本当に感謝しています。下町ってこんなにもいい人が多いのかと思っています。地域の人たちがすごく可愛がってくださっていて、地域の祭りやイベントに必ず出させていただいていて、すごくありがたいことで、継続できればと思っています。一昨年まではワイナリーと隣接している東京海洋大学さんと産学連携もしていました。次の段階として、深川ワイナリーが地下アイドル化し過ぎているので、大手のワインメーカーとまではいかなくともブランドを作っていきましょうという話をさせてもらっています。江東区をベースにエリアを広げていきたい、地名度を上げていきたいと考えています。会社が20周年を機に地域のワイナリーから全国区にと、スタッフがすごくがんばっていて、ワインの賞は受賞しているものの、まだまだ地域で仲のいいワイン醸造所みたいな状態なので、逆に地域への恩返しとして、もっと広がっていくワイナリーにしていきたいと思っています。現状の10ワイナリーがアライアンスを組みながら。
また、深川ワイナリー東京では「醸造アカデミー」を2024年から開講しています。今年も 6月から座学と体験学習を実施する予定です。一般の人にワインを好きになってもらいながら広めていきたいのと、醸造人を育てたいと考えています。

概念や固定観念を壊し、都会にワイナリーを作り、ぶどう栽培もして、日本ワインを広める一役を担ってきた中本社長。業界におけるワインの概念が変化しつつあるなか、次の一手を打ち始めた今、「スイミー」が大きな何かに立ち向かいながら、どこに泳いでいくのかを、併走しながら見守っていきたいと感じるインタビューでした。

