見る・遊ぶ

東京都現代美術館で台湾近代美術展 日台の作品・資料800点で時代を再考

陳澄波「嘉義公園一景」1934 個人蔵(画像提供=東京都現代美術館)

陳澄波「嘉義公園一景」1934 個人蔵(画像提供=東京都現代美術館)

 東京都現代美術館(江東区三好4)で9月5日、近代の台湾と日本を多様な文化芸術を通して見つめ直す展覧会「共時的星叢(せいそう)──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」が始まる。

「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」のメインビジュアル

[広告]

 1930年代の台湾で結成されたモダニズム詩のグループ「風車詩社」を描いた映画「日曜日の散歩者」(2015年、日本公開2017年)を起点に構成する同展。同作を手がけた台湾の映画監督・黄亜歴(ホアン・ヤーリー)さんをゲストキュレーターに迎える。

 会場では、台湾の15館以上の美術館・博物館や個人コレクションから集めた近代台湾の絵画、彫刻、版画、写真など約200点と資料約500点に、日本の作品約100点を加えて紹介。この規模で台湾近代美術を日本で紹介するのは初めてという。

 出品作家には、黄土水(ホアン・トゥシュエイ)、陳澄波(チェン・チェンボー)、李梅樹(リー・メイシュ)、何徳来(ホー・テーライ)、林玉山(リン・ユイシャン)、郭雪湖(グオ・シュエフ)、洪瑞麟(ホン・ジュイリン)ら、台湾近代美術を代表する作家が名を連ねる。

 展示は、映画「日曜日の散歩者」の思索や編集手法を展示空間へと広げ、美術作品のほか、文芸、映画、音楽、演劇、舞踏などジャンルを横断した資料をモンタージュのように組み合わせて6章で構成する。

 展示の半数以上を占める約500点の資料群も見どころだという。当時の台湾と日本で出版された書籍や雑誌、作家同士の交流を伝える書簡、メモ、アルバムをはじめ、文学、音楽、レコード産業、舞踏、演劇、工芸などに関する資料を展示。台湾の原住民族に関わる資料も紹介し、日本統治期の政策や人類学的調査の中で分類・収集された資料を現在の視点から捉え直す。

 会場の空間設計は、台湾を拠点に活動する建築家、陳冠宏(チェン・クァンホン)さんと陳映竹(チェン・インジュウ)さんによる「U×U Studio」が担当。反射する素材や迷い込むような動線を取り入れ、作品を見るだけでなく、鑑賞者自身が作品同士の関係の中に入り込むような展示空間をつくる。

 初日の9月5日には関連プログラムとして、台湾美術史やキュラトリアル・スタディーズの研究者・専門家を招いたシンポジウムを13時〜17時30分に行う。黄さんと、同展共同キュレーターで金沢美術工芸大学准教授の金島隆弘さんがモデレーターを務め、台湾近現代美術の研究や領域横断型のキュレーションについて考える。

 同館広報担当者は「黄さんをゲストキュレーターに迎え、映画を巡る思索や編集手法を展開し、美術作品や文芸、映画、音楽、演劇、舞踏などの資料をモンタージュのように組み合わせる。これらの関係性が無数の星のように交錯する空間の中で、現代の視点から近代を再考する機会となれば」と話す。

 開館時間は10時〜18時(11月の金曜は20時まで)。月曜休館(9月21日、10月12日、11月23日は開館)。9月24日、10月13日、11月24日休館。観覧料は2,000円ほか。12月13日まで。